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(株)福祉用具総合評価センター
 田中 繁

 自分自身の業績を見直したりして、何を書こうか迷っている。今回この原稿依頼を頂いてから改めてJSPOのHPを見てみたら、現会長の浅見豊子先生の挨拶文で、1968年(昭和43年)に“義肢装具研究同好会”として発足し、1984年(昭和59年)からは“学会”となり、更に2013年(平成25年)に今日の一般社団法人となっていることを再確認した。

 私が職についたのは1973年(昭和48年)のことであり、その年には上司であった故荻島秀夫先生の指示で、ISPOに入会したことを覚えている。おそらく、それと前後してJSPOにも入会したものと思う。ということは同好会発足5年目頃に入会したこととなる。そして、1987年頃であったと思うが、帝京大学に学会事務局が移ったのと同時に、学会幹事となった。当時の事務局長(常任理事)は加倉井周一先生であったが、その後、事務局は移動せずに当時国リハにおられた初山泰弘先生へと代わった。

 私が幹事となった頃から、今日に至るまで続いている学会事業として、ISOの活動がある。これには私も関与してきたが、事業を担っているのは学会の標準化委員会であり、森本正治氏(大阪電通大)、中川昭夫氏(神戸学院大)佐々木和憲氏(佐々木義肢)などの皆様の努力があり、30年間継続されてきた。しかし、その重要性が会員の皆様に十分知れ渡っているとは言い難い。

 学会での発表を見ると、義肢、装具、姿勢保持具などに関する開発研究が多くあるが、それらの発表が最終的に目標とするのはエンドユーザーに使用してもらう製品を開発することであることは間違いない。発表された開発製品の中には、結果的に日本国内のみの市場で販売されているものも少なくない。公費が出る義肢装具の医療的用具としての特殊性もあり、国内市場のみでも継続的な販売が可能となっているのだろう。しかしながら、貿易自由化の更なる進展などで、外国製品との競争は一層激しくなるに違いない。その時、“国内市場”のみの製品は消えていくものと推測する。

 生き残るためには、国内市場を越えて国際市場へ打って出なければならない。ここで重要となるのは、製品が世界標準(規格)に合致することである。学会発表 → 製品開発 → 市場への参入 → 採算性の確保 → 市場での生き残り、という流れを可能とするには、世界標準であるISOでの日本製品の優位性確保が必須である。それを担えるのは、義肢装具学会のISO活動であると考える。当学会が目指す研究は研究のための研究ではない。学会の標準化事業の重要性を理解し、深めていただきたい。